愛の眼鏡は色ガラス

転写される自意識

月猫に蜜の弾丸

心身共に芳しくない。季節の変わり目はいつもそう。
だいたい睡眠が二時間半〜三時間スパンくらいで途切れてしまうんですけど、何かの病気かよ、と疑う余地もない位もはや常態化しているわけで。
日々の憂鬱は三時間おきにやってくる。三時間意識を失って、30分思案することの繰り返し。睡眠すらも甘えさせてくれない。


サラリーマンは現代で一番卑しい生き物かもしれないと、電車の椅子取りゲームに興じながら思う。
たかだか10数分の着席のためにさも「私は急いじゃいないんですがね、ほら、目の前の椅子が空いていやがる。ちょうど毎日のお勤めで疲れた私が座るにはいいあんばい。」みたいな顔して人を押し退けなきゃならないなんて、貧しいと言う他ない。
でも、同じ運賃払うなら座りたいし、ぎゅうぎゅうの車内で赤の他人とパーソナルスペースを侵したり侵されたりしながらバランス感覚を養うのはもっと嫌なわけで、またこれも貧しい。
要は、毎日決まった時間に決まったところに行かなきゃならないから、椅子のことや運賃のことを考えなくてはならないのだし、今日は天気もいいし、電車は満員だから、ちょっと午前中は海を眺めてから働くかなんて余裕さえあれば、日本人は毎朝卑しい電車に乗らずに済むのだ。
その第一歩として、仮病を使って散歩したら診断書は要求されるわ、本当に体調悪くなるわで踏んだり蹴ったりな感じになって、絶対こんな仕事辞めてやる!って躍起になって今午後七時ってわけです。
毎日だって休みたいし、毎朝ホットケーキ焼いてお茶してから一日を始めたいし、お昼はテラスのあるところでご飯食べたいし、仕事は日が傾くと終わりにしたい。
家に帰るとネコ足のバスタブがあるっぽい人間になりたいわけです。


春なので、よく恋愛の話を振られるんですけど、僕はこの世の中で一番無駄な話題は恋愛の話だと思ってるので、僕に恋愛の話を振らないでくれって感じ。
そんなことより、君の原風景は何だ?とか好きなアイスクリームの味は?とか一番古い記憶について話していれば、まぁ勝手に恋愛なんておまけでついてくるわけで、恋愛を話すって空気の構成を無視してO2にフォーカスをおいて「呼吸は大切!」って言われてるみたい。いや、呼吸は大切なんだけど、お前の吸ってるそれは色々混ざっているし、ああなんか夕飯時でいい匂いがしてきたぞ。

森永マミーのでかいパックがいつの間にかお値段据え置きで900mlになっているのを知っているか?世の中はそうやって音もなく変わっていく。